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旅に出ています-山手線ひとり旅のおもいで

20080116kaban

ごぶさたしております。カバンです。

あ、まちがえました、

20080116travel

フトアゴヒゲトカゲのはじめです。

新年早々旅行中。ひでちゃんのおとうさんとおかあさんの家にしばらく居候することになりました。

ぼくが旅にでるときは、こうしてひでちゃんのボク専用ハンドバッグに入って移動します。
寒い季節は、ハンドバックの底に使い捨てカイロが敷かれポッカポカです。
移動中、ぼくはとってもいい子におとなしくしています。

そういえば旅は久しぶり。ちょうど1年と少し前のひでちゃんの引越しのとき以来だ。
そのときはこうして専用のバッグではなく、靴箱に入れられ、引越し屋さんには預けられない貴重品類といっしょに、スポーツバックに詰められての移動でした。

そして事件。忘れもしないぼくのすごい冒険・・・

ひでちゃんは完全徹夜で引越しの準備をし、クタクタでモーローとしていたから・・・と後でいいわけをしていましたが・・・

あの日、
そもそも引越し代をケチッって、トラック1台でなんとかすると言い張った引越し屋さんを選んだのが運のつき、最後の最後どうしてもトラックに掃除機を積みこむことが出来ずに、仕方がないので掃除機を片手に持ち、ぼくと大事なイロイロが入ったボストンバックをもう片方に下げ、想定外の両手いっぱいの荷物で、電車に乗って新居へ向わなければならないことになったのでした。

元のおうちがあった目白から新居の横浜までの移動時間は、車でも電車でもだいたい同じぐらい。
引越しのトラックが着く前にひでちゃんは新居に到着していなければなりません。バタバタと慌てて最後の片付けをし、荷物がなかなかトラックに収まりきらないスッタモンダ&徹夜明けフラフラのクタクタ状態で慌しく山手線に乗り込み、ようやくほっとしたところでした。

両手に掃除機とボクを不安定にぶらぶらと持ち歩き、ボクがかわいそうだと思ったからと、またまた言い訳していたけど、
まさかそんな大事なものを自分に限って置き忘れるわけあるまいと自信をもってぼくの入ったボストンバックを網棚に乗せたのが運命の分かれ道でした。

そこでちょうど、引越しのお手伝いに来てくれることになっていたお友達からケイタイにメールが入ったのです。
10分後、返信をしているうちに乗り換えの渋谷駅へ到着してしまいました、メールに夢中であやうく乗り過ごしそうになるところでした、ひでちゃんは慌てて床においていた掃除機を忘れずに回収して渋谷駅で下車していきました。

ボクを網棚に乗せたまま。

お手々がなんだかさみちぃー・・とひでちゃんが気がついたのは、下車する人ごみにもまれよやく渋谷のホームに吐き出されて、後ろでドアがしまった瞬間でした。
後にひでちゃんは夢の新居への引越しが、人生の転落のはじまりに一瞬で暗転したような気分だったと言っていましたが、カバンにはボクばかりか、やっと手に入れた新居の登記簿、銀行の契約書類、通帳や証書類やら、データがたくさん入ったノートPCやら、ひでちゃんの全財産といっても過言ではないものばかりが入っていたのです。

ひでちゃんは人生終わった気分で半べそになりながら、駅務室まで膝をガクガクさせながら駅の階段を駆けあがりました、

「あの、あの、あの、い、今行った山手線の中に、大事なものを忘れてしまって、あの、あたしどうしたらいいでしょう!!(汗)」

「お客さん落ち着いてください、大丈夫ですよ!山手線はグルグルまわっているから現金とかすぐ金目のものわかるもの以外は大抵出てきますから。コンピュータシステムに登録しておけば、明日には確認できますからね。」

「明日じゃ、だめなんです!!(涙)」

「お急ぎなんですね、中身はなんですか?ナマものですか?」

「トカゲなんです。」

「え・・・トカゲ・・・?」

徹夜で眼の下にクマをつくってスッピンで髪を振り乱し、掃除機を片手に下げ「トカゲ」忘れた、人生終わった、と半べそで訴える変なおばさん。

嗚呼、想像しただけでぼくのほうが恥ずかしい。

猜疑の目でちょっと引きながらも、親切な駅員さんが教えてくれました、

「一番早くて確実な方法があります。山手線はグルグル回ってますから、必ず1時間後にここに戻ってきます。お客さんが乗っていたと思われる前後2、3台の電車の車体番号を教えますから、電車が入ってきたら先頭で車体番号を確認して、荷物を置いたと思われる車両に乗り込んで次の駅までの間に探してください。コツはこの電車かな?と思う電車より早い時間の電車から念の為探してみることです。見つからなかったら次の恵比寿で降りて、次に来た電車にまた乗って探してみてください。」

なるほどー。
嗚呼、山手線であったのが不幸中の幸い。埼京線とかで埼玉とか宇都宮とか関東の果てまで行っていたらボクは寒くてもう帰ってこれなかったかもしれない。

ひでちゃんは引越し屋に遅刻のことわりと詫びの連絡を入れ、掃除機を片手に渋谷駅で電車が戻って来るのを待つことに。

やがて目的の電車がそろそろ到着する時刻、掃除機を片手にもった中年女は、駅員さんに「黄色い線まで下がって下さ~い!」と構内放送で注意されなら、てっちゃんのごとく、爛々とした目つきで身を乗り出してホームに入ってくる列車を確認。すかさず見当をつけた車両のあたりまで掃除機片手にホームを移動「すみません、すみません!」と掃除機片手にひとをかき分け車内を進む。

「あったぁ!!」と思わずひとりごとをもらしながら、見慣れたはずなのに、今は特別に輝いて見えるすすけたボストンバックを掴んで発車しようとしている電車を飛び降りたのでした。

そうして、ひとごみの渋谷駅でボクが飛び出したりしないように、ひとから見えないように小さくカバンの口を開けボクの無事を確認し、ぼくが入ったボストンバックを抱きしめ、涙をながして、ゴメンね、ゴメンねと繰り返しました。

駅のホームのど真ん中で、掃除機片手に泣きながらカバンにあやまる変なおばさん・・・

こうしてぼくは、ひょんなことからひとりで電車に乗って山手線1周の旅を終えたのでした。

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