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安い同情

車内レイプしらんぷり 「沈黙」40人乗客の卑劣

誤解を恐れずに言えば、私はこの手の論調が嫌いだ。

夜のニュースでも、この人とは思えない犯人の卑劣さよりも際立って、乗客達は何をしていたんでしょうか?といったムードを強調する報道ばかり。

この電車に乗り合わせたひとたちはどんな心境でこの報道をうけとめているのだろうと思うと本当に気の毒になる。

そのときの光景を想像してみれば、犯罪を防げなかったその場に居合わせた人たちをまるで共犯者のように「薄情」だなんて、そう簡単に言えるだろうか。

泣きながら女性が引っぱって客室から連れ出されようとしている、男が凄んでいる。(その状況だけで、誰がまさか乱暴目的でトイレに連れ込もうとしてるなんて思うだろう?)そんな痴話げんかの光景なんて、けっこう街中で見かける荒んだ世の中だ。

他人のプライバシーにやたらと入り込むもんじゃないないっていう、正論でもあり問題でもある風潮が今どきの常識といわんばかりに一般的になっていることは周知のことだ。

>「道徳の問題で、単純にそういう状況になったときにみんなで何とかしましょうよ、という教育をこれまでやっていなかった」

と橋本弁護士がコメントしているように、今の私たちの世間との関わり方を隠れ蓑とした犯罪がおきたことが問題であり、危惧すべきことであるのだ。

私は以前に駅で偶然見かけたケンカを駅員に通報したことがある。
酔っ払い同士の殴り合いであったが、片方が半ば錯乱状態でちょっと尋常じゃなかった。殴り合いで片方がついに口から血を流して倒れた。もう片方は狂ったように怒鳴りながら、そのうずくまって倒れている相手を力いっぱい蹴り続けていた。ほかの乗客のひと達も、電車からもみ合いながら2人が降りてきたときから、静止しようと取り囲んでいたが、殴り合いの勢いは激しく、誰もが勇気を出すタイミングを逃したまま、その尋常じゃない状況になるまではあっという間の出来事だった。
このままでは、死んでしまう。
そう思った私はプラットホームの上にある駅務室まで助けを呼びに思いきり階段を駆け上がって、改札口で叫んだ。
「助けてください!大変です。ホームでひどいケンカです。このままでは死んでしまう!」
駅員さんを連れて急いでホームに降りると、ほかの乗客数名がまだ暴れようとしている酔っ払いをなんとか押さえ込み、横たわったひともさいわい意識があるようだったが、ホームには血が流れひどい光景だった。

私はあのホームを駆け上がった時の恐怖を今でも覚えている。錯乱している犯人が私に気付いておいかけてきたらどうしよう、恐い。心臓がどきどきし背中から肩にギュッと力が入った、膝が震えて躓きそうになりながら必死に階段を駆け上がった。駅務室に向かって大声で叫んだときは半べそだった。

そういう体験をしたことがあるなら、こんな簡単に黙って見逃すなんて卑劣だ、何をしていたんだ、なんて薄っぺらな感情論でこの事件をあれこれ言ったり出来ない。軽々しく自信たっぷりに、私だったら助けに行きますなんて言えない。

論点がずれてる。まずは問題は、こんな非情で危険な人物がフラフラと世の中にのさばっていたということだ。
公然の場でのちょっとした揉め事の光景が珍しくなくなり、他人のことには軽々しく介入しないという風潮が防げたはずの犯罪を簡単に起こさせてしまったということだ。

小学生の道徳の時間の思い出。

物語を読んで、どう思うか考えて作文を書くという課題。
歯医者さんの待合室で後から来た小さなこどもがぐずり、母親が困っているのに、だれひとり順番をゆずらなかった。自分も譲ってあげる勇気が出せなかったことを後悔した女の子のお話だった。

子どもなりに私はいろいろ考えて、歯の病気は大抵すぐに生死にかかわるものではないし、ほかの患者さんだって痛いのをガマンしてるかもしれない。順番は守るべきだし、騒いでいる子どももガマンというものを覚えるべきだと思った。
正直に「だから、主人公は後悔なんてする必要はないと思います。」と作文に書いたら、ちょっとした問題になった。先生に父母面談のときに情緒的に問題があるぐらいのことを言いつけられて、母は私を責めたりはしなかったが、心配し私の行動をどう解釈してよいか少しナーバスになっている雰囲気を感じとり、ひどく傷ついたものだ。

実のところ、普段私は些細なことでは、薄っぺらな感情や同情で動いてひどい目にばかりあっているので、こうしたことでは感情で失敗しないようにバランスをとってるのかもしれない。

今日だって、同僚と一緒の帰りのホームで気のいい酔っ払いおじさんが急に話かけてきて、別に気持ち悪い話とかケンカ売ってるとかじゃなかったので、無視したり無下に扱うのも何かと思い、適当に「そうですねぇ~」とか世間話につきあって相槌をうってあげたら、調子に乗ったおじさんは電車に乗ってからも嬉しそうに大きな声で「女性専用車両の不平等が象徴する現代社会の歪みについて」を語りつづけ、「そうだよな!若いひとには考えて欲しいのよ!」とかいって、気安くバンバン背中はたたかれるは、恥ずかしいわ、同僚にも居心地の悪い思いはさせてしまうわで、後悔したばかりだ。

嗚呼、やっぱ安い同情キライ!(笑)

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