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かもしれない。その2

思いがけない、アラフォー女子の再会。
二人目は高校時代の同級生。
一時期、電車通学の帰りの方面が同じだったこともあり、いつもいっしょで時には寄り道で家に招くほど仲良しだった。

でも若者の移り気っていうのは残酷なもので、クラス替えがあったり、それぞれ目の前の新しいことに夢中になっているうちに、理由もなくなんとなく顔をあわす機会が無くなってそのまま卒業してしまった。
それでもわたしの中では、気取らなく元気いっぱいだけど、思慮深くさりげなく周囲に気を配ったりする彼女が大好きで、印象深く、時おりあの子はどんな大人になったんだろうと疎遠になってしまったことを後悔していた昔の友人のひとりだった。

だから、今の住まいのすぐ近くのいつものスーパーの角で、「もしかして、あべちゃん?」と彼女から声をかけられ振り向いたら、瞬時にものすごく懐かしくて会いたかったぁ~という感激がこみあげてきた。
でも、その感情だけがカッと胸を高鳴らせるが、名前が出てこない、誰だかわからない!えっ、えっ、このひとすごい会いたかったひとなのに、この懐かしい雰囲気、えっとえっと・・・

「あたし、ケーコだよ。覚えてる?」と彼女。
「きゃー、えっ、えっ、ケーコちゃん?!うれしー!!こんなところでまさか会うと思わなかったから、あたしはぜんぜん気付かなかったよ!!声かけてくれてありがとう」

それもそのはず、もともと互いにどちらかというと化粧っけもなくガハハと色気のない元気いっぱい女子高生、というタイプだったが、スラリと背が高くもともと目鼻立ちもくっきりとしていた彼女は、聞けば今はなんとスチュワーデス。
これから近所の友人宅に訪ねるところで、普段着とはいえ小綺麗にしいてとっても美しかった。あのころの姿からうって変わって見目麗しい大人の女性に成長していた。

一方、あたしといえば、近所の整体に腰痛直しに行った帰り道で、どうせ夕方の暗がり、自転車で突っ走れば誰も見ちゃいないとばかりに、整体院でいちいち着替えるのもめんどくさいので、ゆるゆるの寝間着同然のジャージー姿で、ぼさぼさ頭にヤワラちゃんちょんまげという出で立ち、眉のうすいスッピン顔には多分60分間うつぶせになっていた輪っかの枕の跡がクッキりついていたと思う。

「うん、あたしもまさかこんなところでとは思ったけど、阿部ちゃん、ぜんぜん変わってないからさ、ぜったいそうだと思って。」

嗚呼、こんな変なかっこうで「変わってない」とはこれいかに・・・

すごいじゃないっ!スッピンで40にして、17歳の頃と変わってないって!!
きゃースッピンが役に立った!

って、思おう・・・(苦)


そんな一抹の居心地の悪さは、まあもうそれどころじゃないっ!

「えぇぇ?もしかしてご近所?」
「いつ頃から?」
「何丁目あたり?」
「きゃぁ~じゃあ、もしかしたら既にどっかですれ違ってかもじゃん!」

当時互いに住んでいたところとは全く別の場所での、なぜか互いに自転車にまたがったご近所モードでの再会に興奮。

どうして、まったくこんなところで会うのだろう。

どうして、って大抵決まってるじゃない・・・
このあたりは、高齢化も進んでいる一方で、まだまだ若年ファミリー向けの手頃なマンションが乱立する地域。
きっと・・・

お互い、聞きたくて聞きづらいあの質問。

一拍置いて、あちらから口をひらいてくれた。

「それで・・・結婚されて今はこの辺に?」

「って、言いたいところなんだけどさー、ひとりで住んでるのよー。ボロいけどそこのマンション買ってね、着々とひとりで行きてく道まっしぐらって感じ。」
とわたし。
何だか言い訳をするみたいに、聞かれてないことまで答えてる自分がちょっと情けない。

「ケーコちゃんは?結婚されて?」

「えっとね、わたしはね、えっと結婚は一度もしてなくて、実家がこっちに移って親と住んでるの。」

うーん!わたしはこのケーコちゃんの「一度もしてなくて」という言い回しにちょっと感動した。
そうして、当時と変わってないまわりを気遣う優しさや聡明さがうれしかった。
そうそう、わたしはケーコちゃんのこういうところが好きだったのだ。

そういや、以前の住まいの隣人に世帯人数をただ聞きたくて「おひとりですか?」ときいたら初対面にもかかわらず、何を勘違いしたか先走っていきなり離婚歴の話をされて面食らったことがあった。
ケーコちゃんは仕事の都合か何かで確か欠席だったけど、10年前、30歳の記念に開かれた同窓会では、まだ独身が多いなか既に2回も結婚して、2回目も離婚しそうな子もいたっけ。

私だって、年代やその日たまたま着てたかっこうで、奥さんだと決めてかかられて応対に困ったり、ときにはやっぱあたしって人並みじゃないのかしら、なんてちょっと傷ついたことが何度もある。

もう40年も人生やってるおとな。すごいおとな。
ケーコちゃんだって、いろんな人に接していろんな思いや考えることがあって、きっと選んだ表現なんだろうな、と勝手に想像をしたら、互いに違う道でいろんなことを経てきた長い年月に思いがはせられ、でもそれをアウトプットするトーンは期待を裏切らない、やっぱりあの子だ!という変わらない一面が見え隠れしたりするのがとっても素敵だなと思った。

そうして、ふたりは日をあらため、この住宅街の雰囲気には似つかわしくなく、近所のちょっとアウトローな雰囲気のバーに「実は前から気になってたんだよねー」「あたしもー!今日は行っちゃう?」と調子に乗って自転車で乗り付け、いつもなら開けられない扉を開け、若者たちに「おねえさんたち」的扱われ方の中、深夜まで女子高生にもどったときのようにきゃっきゃっとおしゃべりに花をさかせたのでした。

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